第1031号 東大新報 2008年(平成20年)4月15日


発明の心は「愛」の心


発明件数 世界第一位!
国際創造学者 ドクター・中松

四月十八日は「発明の日」だ。ドクター中松は、五歳で最初の発明をし、これまでに灯油ポンプ、フロッピーディスクなど、数々の発明をしてきた。その数は、三千三百五十三(二〇〇八年四月現在)にもなる。今回、ドクター中松に、なぜそれほどまでに発明ができるのかを聞いた。


「1スジ、2ピカ、3イキ」で発明
 ─先生はこれまでに、三千三百五十一件もの発明をされてきました。どうしてそれほどの発明をすることができるのですか。
 母から受け継いだDNAのおかげです。なぜお母さんかというと、男の子はお母さんに似るのです。女の子はお父さんに似ます。これはたすき掛け理論と言います。
 発明の三要素は、「一スジ、二ピカ、サンイキ」です。スジとは「理論」、ピカとは「従来の延長線上にないひらめき」、イキとは「世の中で生きる」を意味します。つまり単なる図面とかアイデア倒れではなく、実際に現物ができて、発明されたものがみんなに使われてこそ発明と言えるのです。


発明は単なるアイデアではない
 ─先生が発明をされたきっかけは何でしょうか。
 私は三歳の時から物理、英語、国語などを教わりました。だから五歳の時に最初の発明をすることできたのです。自動重心安定装置と言って、飛行機の重心と揚力中心を自動的に合致させる装置です。全部自分で手作りして、実験して確かめました。
 勉強をしないと発明はできません。発明は単なるアイデアとは違うのです。例えば今の重力と揚力を一致させるなどということは、理論をしらなかったら分らないでしょう。
 発明というのはすべての世界中の科学者よりももっと勉強して、だれも考えつかないことを考えなければなりません。世界のレベルよりも、もっと高いレベルの勉強をしなければならないのです。
 天才にはピカがありますが、秀才にはピカがありません。秀才にはスジがありますが、ピカがありません。東大に入る人は秀才なのですが、ピカを持っていません。私のように、スジとピカを両立させることは母からもらったDNAによるのです。
 ─先生は東大でどのような学生生活を送られたのですか。
 非常によく勉強をしました。
 講義に出ない人が多かったのですが、私は全部の講義に出席して、詳細にノートをとりました。だから試験間際になると、私のノートを目当てに、家の玄関の前に同級生が列をなすのです。それで肝心の僕がそのノートを読めませんでした(笑)。


母を楽にさせたかった
 ─中松先生が発明された「醤油ちゅるちゅる」は、母のためを思って発明したと聞きます。
 醤油ちゅるちゅるは私が十四歳のときに発明しました。当時は戦争中で石油もなく、とても寒かったです。その頃は、醤油は一升瓶に入っており、それを卓上の醤油さしに小分けにしました。母は非常に重い一升瓶を持ち上げて、小分けにしようとするのですが、寒くて手がかじかんでいるので、なかなかうまくできなません。私は母親がそのようにして苦労している背中を見て、親孝行をしようと思ったのです。
 私は、どうしたら一升瓶を持たずに醤油を醤油差しに移すことができるかを考えました。普通、、液体は高いところから低いところに流れますから、低いところから高いところへ持ち上げ、醤油瓶を持ち上げずに醤油さしに入れることは、常識で考えると不可能です。これらのことは理論で言うと、流体力学の分野になりますが、中学二年生ではまだ教わっていません。そこで図書館に行き、自分でベルヌーイの定理など、流体力学を勉強して発明しました。
ですから発明の心は愛の心なのです。母を愛する親孝行が、私の発明の出発点となりました。それからずっと愛の心をもって発明をしてきたのです。また「地球を愛する心」で、CO2を除去する画期的な発明をしました。これは五月六日に全世界に発表する予定です。


理想の食事を科学的に解明
 ─中松先生は「Igノーベル賞」を受賞されています
 Igノーベル賞は、ノーベル賞を受賞したハーバード大学の教授、MITの教授が選考委員となって選出するノーベル賞です。私は日本人として初の栄養学賞を受賞しました。私は四十二歳の時から三十四年間にわたり、自分の食事を全部写真に撮り、自分の血液を分析して食事と頭と体の三つの関係を科学的に分析したのです。
 その結果、人間の寿命は百歳であるという米国人の理論を打ち破り、百四十四歳まで生きることが可能だという理論を打ち立てました。また、食事の効果はすぐにではなく三日後に表れる、三食食べていると頭が悪くなり寿命が短くなる、などのいろいろな発見をしたのです。
 ─どのような食事が理想的なのでしょうか。
 五十五種類の成分が頭と寿命にベストだということを発見しました。それをナノ単位の顆粒にして製品化してのが「リボディ55」です。これをスープに入れたり、おかずに振りかけたりすれば、ひとりでに55種類の成分を摂取することができます。また、十三種類の薬草からなる飲み物「ブレンドリンク」も、非常に効果的です。こうした食べ物、飲み物、そして運動をすることで、私は八十歳の今でも非常に元気なのです。


発明する能力のある人が総理に
 ─東大生へのメッセージをお願いします。
 最近の日本の総理は、東大出身者ではありませんが、東大出身者で発明力のある人が総理になる必要があると思います。一番優秀で頭がよく、お金にもきれいな人、そして新しく考える、発明する能力のある人が総理になるべきです。日本の場合は、発明家が総理になることはありませんが、米国では発明家が大統領になることが多くあります。ベンジャミン・フランクリン、リンカーン、レーガン、は発明家でした。米国では憲法にも、発明による立国を行うと書いてあるのです。
 先ほども申し上げましたが、発明の心は愛の心です。まず日本人ならば日本の国を愛することが必要です。昔、東京大学は東京帝国大学と言われており、入口には菊の御紋がありました。学生や教授たちは、自分のためではなく菊の御紋のために、つまり国のために勉強研究をしていたのです。そうして多くのリーダーが東大から輩出されました。ところが今は、菊の御紋も外され、東大生は愛国心が教育されない状態で勉強をしているようです。卒業をしても、国のためを思わず仕事をしています。ぜひ東大生はもっと国民のことを考えて勉強してほしいと思います。
 ─ありがとうございました。



プロフィール
【ドクター・中松】
東京都生まれ。本学第一工学部石油工学科卒業。国際創造学者。五歳で最初の発明をし、灯油ポンプ、フロッピーディスク、カラオケ、パチンコ、タクシーメーター、ファクシミリ、セーフォア(四人乗自転車)、X(CO2除去装置)などを次々に発明、発明件数は三千三百五十三件にのぼる(二〇〇八年四月現在)。エジソンの千九十三件を抜き、世界第一位。『ニューズウィーク』誌の「世界十二傑」に日本人から唯一人選ばれ、その価値一時間一万ドルと評価される。ノーベル賞受賞者が選ぶIgノーベル賞をハーバード大学で受賞。米国科学学会で「歴史上世界一の偉大な科学者」に選定せれる。ガンジー平和賞受賞、米国国会表彰。ブッシュ大統領から新書。ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークなど十七市で「ドクター中松デー」が法律で制定。米国市州の名誉市民に選定。主な著書に『創造学講義』、『ドクター・中松のリボディ』『発明ノート』『バカと天才は紙二重』など多数。


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